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今世紀に入り、消費財企業のビジネスの運営や、消費者のブランドとのかかわり方は大きく変化しました。新たなビジネスモデルが台頭し、変化に適応した企業が繁栄する一方で、淘汰された企業もあります。以前のレポート『AIエージェント型の商取引』では、自律型AIによる商取引が既存の枠組みをどのように変革させるかについて考察しました。

AIは、消費財市場において破壊的変革を加速させ、参入障壁を引き下げてブランド力を揺るがす一方、明確な商品価値を提供する企業については、競争優位性をさらに強化すると思われます。”

これまでの振り返り ― そして、今後の競争ルールの再定義

今や最も重要な透明性
過去の歴史では、消費者が商品のクオリティを評価する方法は、個人的経験や口コミに限られていました。そのため、消費者は馴染みのあるブランドを選ぶ傾向がありましたが、インターネットやソーシャル・メディアがこれを一変させてしまいました。商品レビューやフォーラム、インフルエンサーやオピニオンリーダーの台頭によって、情報アクセスが飛躍的に向上したためです。

商品情報の透明性向上と生活費の圧迫によって、消費者はコスト・パフォーマンスに敏感になっています。ブランドは、今やプレミアム価格を正当化するために明確な価値を示さなければなりません。コストコ(Costco)のプライベート・
ブランド「カークランド(Kirkland)」の台頭が、このような変化を象徴しています。同ブランドは、売上高で世界最大級の消費財ブランドとなり、世界的な
消費財の巨人であるプロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble)を
超えるまでに成長しました。欧州でも、リドル(Lidl)とアルディ(Aldi)が20年にわたり、主にプライベート・ブランドの強さでシェアを拡大しています。

もはや既存企業に支配されない陳列スペースと流通網
電子商取引の出現以前は、実店舗でいかに商品を展開するかが重要でした。

適切な場所の、適切な棚に商品を陳列されるかどうかが、しばしば成功を左右しました。小売業者は、回転率の高い既存ブランドを優先したため、新興ブランドが消費者の目に留まり、消費者の支持を得ることは困難でした。

しかしオンライン上では、事実上、陳列スペースは無限です。検索結果の1ページ目以降に進む消費者が少ないため、今でも目に止まりやすいことは重要な要素ですが、参入障壁はかなり低くなっています。流通網も拡大し、多くの商品が数日以内、時には数時間以内で消費者の手元に届くようになりました。

ブランドを構築し、顧客獲得のあり方を変えるソーシャル・メディア
ソーシャル・メディアによって、企業は消費者に対して直接アクセスできるようになり、特定のターゲット層を正確に狙うことが可能になりました。テレビ、ラジオ、紙媒体といった従来の広告チャネルはコストが高く、効率も良くありませんでした。現在では、著名人やインフルエンサーが支持する新興ブランドが、大規模かつ高い精度でターゲット層にアプローチできるようになっています。

サプライチェーンと製造分野における障壁の低下
歴史的に、研究開発(R&D)、製造、品質管理は、消費財のビジネスに不可欠な中核的な機能でした。しかしながら、近年ブランド企業は、資産規模を抑えた事業モデルで運営する傾向が強まっています。製品の設計や開発は、多くの外部企業にアウトソーシングされ、これらの委託先企業は、伝統的ブランドやプライベート・ブランド、新興ブランドに対して横断して、技術や開発能力を提供しています。このようなビジネス形態は、特に美容品やホーム・パーソナルケア(HPC)の分野で顕著になっています。

実店舗、ブランド構築、サプライチェーンといった3つの
基軸について、競争優位性が低下する中、E.l.f.ビューティー(E.l.f. Beauty)のような新興企業が、破壊的なマーケティングと価格戦略で成長を遂げています。既存企業の中にも、私たちの保有銘柄であるロレアル(L’Oréal)のように、110年以上の歴史を持つ老舗企業でありながら、絶え間ないイノベーション、強力なマーケティング力、積極的なM&Aを通じて競争力を維持している成功事例もありますが、このような企業は稀になっています。消費財セクターへの組入れ比率を減らしてきた私たちの投資スタンスが示すように、銘柄選定の重要性は一層高まっています。

今後の展望

― AIは競争環境をどう変えるか?
こうした現状を背景として、消費財メーカーの事業を考えるうえで、AIは当然、重要なテーマとなっています。企業の事業運営、競争戦略、価値創出のあり方に対するAIの影響はすでに現れ始めています。

効率化を通じた投資機会
過去約2年間で面談した消費財メーカーの多くは、最大の費用項目の一つであるマーケティングや広告宣伝について、AI による効率化改善を期待しています。しかし、AIの恩恵は均等に分配されるわけではなく、テクノロジーを上手く活用できる企業とそうでない企業では、格差が生じると考えています。これまでの事例が示すように、メタ(Meta)、アマゾン・ドットコム(Amazon)、グーグル(Google)、オープンAI(OpenAI)などの事業プラットフォームは、AIが生み出す価値のかなりの部分を取り込むことでしょう。過去10年間の相対的な株価のパフォーマンスを見れば、プラットフォーム企業と消費財メーカーの関係において、どちらがより大きな価値を獲得してきたか明確に分かります。コンテンツ制作やメディア利用の効率化の点で、消費財メーカーはいくらかのメリットを享受できるかもしれませんが、それらは総支出のうち比較的小さな部分に過ぎません。

AIがもたらす意味のある恩恵は、あまり目立たない領域にもたらされる可能性が高いと思われます。それらは、管理業務、需要予測、在庫管理、物流、商品開発、市場投入の迅速化といった分野です。たとえば、小売業者は、予測精度の向上によって在庫を減らし、回転率を高めて経営できるようになります。現時点で定量化は難しいものの、初期段階の利用ケースはすでにあり、コスト削減効果が競争によって失われない限り、時間をかけて段階的に利益率の改善を支える可能性があります。

ブランド力のリスク
商品購入の意思決定が、次第に合理的なAIエージェントに委ねられていくとすれば、ブランドの存在意義は一体どこにあるのでしょうか?今後、商品購入の意思決定は、価格、商品機能、入手のしやすさを重視する方向へ向かう可能性があり、大手企業に有利に働くことが多い商品レビューなどの評価情報も重視されるでしょう。特定のブランドに対する感情的な愛着は、一部のカテゴリーでは薄れていくかもしれません。

こうした結果がすべての分野に及ぶとは想定していませんが、反復して購入する日用品のように、購入者が商品選択に失敗した場合でも負担が小さく、あまり深く検討を要しない(低関与消費行動)商品には影響しそうです。商品購入まで完全に自律的に行うAIエージェント型商取引が実現すれば、この分野への影響度はさらに大きくなる可能性があります。

一方で、自動車や家電のように比較検討を要する(高関与消費行動)商品カテゴリーでは、AIによって消費者の意思決定のクオリティは向上する可能性があります。また、個人の裁量性の高いセグメント、特にシグナリング(地位やアイデンティティの誇示)が商品価値の一部を形成する贅沢品分野では、ブランド選好が引き続き中心的な役割を果たすと思われます。さらにAIは、参入障壁をさらに引き下げ、効率的なマーケティングと流通に支えられた新興ブランドの立ち上げを一層容易なものにするでしょう。

高クオリティ・ポートフォリオへの影響
私たちは、消費者に提供する利点、すなわち、商品やブランドが本質的な商品価値を消費者にどれだけ提供しているかという点に焦点を置いています。消費者の本当のニーズを解決することの重要性は増しています。商品に関する透明性が向上し、AIが活用される環境では、品質の低さや高い価格設定はすぐに露呈してしまうでしょう。

例えば、私たちが保有しているヘイリオン(Haleon)1が製造している歯磨き粉「センソダイン(日本名シュミテクト)」はその好例です。特定のニーズに対応する有効性の高さと、専門家による支持を得ることで、プライベート・ブランドとの競合は限定され、価格決定力を維持しています。
過去10年間、一桁台後半の売上成長率を達成してきたと
考えられ、今後も底堅い成長を維持できると見込んでいます。

アマゾン・ドットコム(Amazon)は、投資家のニック・スリープ氏が提唱した「規模の経済の共有」という概念を体現しています。その企業規模と垂直統合は、優れたサービス、迅速な配送、優れた収益性を生み出しています。こうした効率性は価格引き下げと顧客体験の向上に再投資され、それが成長を加速させるとともに、さらに多くの買い手と売り手を引きつける自己強化による成長の好循環を形成しています。同社の直近2期(2024年12月期および2025年12月期)の決算発表によると、営業利益率は10%強と低水準にとどまりますが、再投資が継続的な売上成長を促しています。

価格、品揃え、配送体制といった物理的インフラに裏打ちされた優位性は模倣が困難であり、AI時代においても有効であり続けるでしょう。むしろ、AIとロボティクスによる自動化と配送のコストのさらなる引き下げで、その優位性は一段と強化されるはずです。アマゾン・ドットコムはすでに100万台以上のロボットを導入しており、顧客注文の約75%を支えています2 。同様の競争環境は、今日のウォルマート(Walmart)やコストコ(Costco)にも当てはまりますが、現在の株価バリュエーションは、私たちにとって魅力的ではありません。

最高級のラグジュアリー商品も、比較的AIの影響を受けにくいと考えられます。フェラーリ(Ferrari)のようなブランドは、伝統、職人技、ステータス性から価値を生み出しており、これらの特性はAIの有無にかかわらず、簡単には模倣ができません。平均価格44万ユーロ、納車待ち18〜24ヶ月という状況が示すように、買い手は、単なる移動手段としての実用性に対価を支払っているわけではないのです。

中間層の企業が生き残る余地は少ない
インターネットやソーシャル・メディアと同様に、AIも消費財セクターにおける参入障壁を下げそうで、消費財セクターの競争をさらに激化させるでしょう。明確な価値を提供し、テクノロジーを効果的に取り込むことができるニッチ・プレイヤーと大手ブランドの双方は恩恵を受けるはずです。しかし、その中間に位置する企業、つまり差別化が十分ではなく、かつ効率性も高くなくて利点を維持できない企業については、確信を持ちにくい状況です。その意味で、AIは消費財セクターの本質的なルールを変えるというよりも、むしろそれを加速させるものといえます。こうした企業間の成長格差の拡大は、環境が厳しさを増す消費財セクターにおいて、銘柄選択が引き続き極めて重要であるという私たちの見解を裏付けるものです。


1 保有銘柄は2026年7月31日時点。上記の銘柄は必ずしも現時点の保有銘柄であるとは限りません。

2 出所:アマゾン・ドットコム社ニュースサイト「About Amazon」、2025年7月1号「The amazing facts and figures behind Amazon‘s 1 million robots」より。

※本書で言及されている個別銘柄は情報提供のみを目的としたものであり、当該個別銘柄の推奨を目的としたものではありません。

本書は、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントが海外で発行したレポートを邦訳したものです。本書と原文(英語版)の内容に相違がある場合には原文が優先します。

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1. 投資一任契約の概要

投資一任契約は、お客様の資産の運用に関し、お客様があらかじめ運用の基本方針を定めた上で、有価証券の価値等の分析に基づく投資判断のすべてを当社に一任し、当社がこれをお引き受けするものです。お客様は投資を行うのに必要な権限を当社に委任し、当社は委任された権限を行使するにあたっては、当社の投資判断に基づきこれを行い、お客様は個別の指示を行わないものとします。

2.  元本損失が生ずることとなるおそれ

受託資産の運用には、受託資産に組入れられた株式その他の有価証券等の価格変動リスク、株式その他の有価証券等の発行体の信用リスク及び株式その他有価証券等を売却あるいは取得する際に市場に十分な需要や供給がないため、十分な流動性の下で取引を行えない、または取引が不可能となる流動性リスク等による影響を受けます。また、外貨建て資産に投資するため為替変動リスクの影響を受けます。受託資産の運用による損益はすべてお客様に帰属し、元本が保証されているものではなく、元本損失が生ずることとなるおそれがあります。

3.  投資一任契約締結に際しての留意事項

受託資産の運用は、個別の受託資産ごとに投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なりますので、投資一任契約を締結する際には、契約締結前交付書面をよくご覧ください。

リスクについて

当運用戦略は主に海外の有価証券等を投資対象とするため、当該有価証券の価格の下落により投資元本を割り込むことがあります。また、外貨建ての資産は為替変動による影響も受けます。従って、お客様の投資元本は保証されているものではなく、運用の結果生じた利益及び損失はお客様に帰属します。投資する可能性のある金融商品等には、価格変動リスク、信用リスク、流動性リスク、為替変動リスク、デリバティブ取引に伴うリスク、カントリーリスク等のリスクを伴います。

費用について

投資一任契約に基づいて直接投資をする場合の費用投資顧問料率

25 億円までの部分に対して                                                             0.880%(税抜 0.800%)

25 億円超50 億円までの部分に対して                                        0.825%(税抜 0.750%)

50 億円超100 億円までの部分に対して                                      0.770%(税抜 0.700%)

100 億円を超える部分に対して                                                     0.715%(税抜 0.650%)

※ 表記の料率は年率表示です

※ 上記以外に投資一任契約に基づいて投資信託に投資する場合の報酬体系は上記と異なる場合があります

※ 契約資産の性質・運用方法等により、お客様と協議の上、最低受託額、受託額及び投資顧問料率を別途取り決めることがあります

※ 税込料率は法律に定められる税率が適用されます

また、投資一任契約に基づく組入資産の売買手数料、保管費用等をお客様にご負担いただきます。(当該手数料等につきましては、運用状況等により変動するため、事前に料率やその上限額等を表示することができません。)

 

最低受託金額

効率的な運用を実現するという観点から、個別口座の最低受託金額を50 億円と設定しております。

《ご注意》

上記に記載している費用項目につきましては、一般的な投資一任契約を想定しております。受託資産の運用に係るリスクや費用については、投資一任契約を締結する際に、事前に契約締結前書面をご覧ください。

投資一任契約に基づいて投資信託に投資する場合の費用

組入れ予定の投資信託は、弊社がお客様と締結する投資一任契約に基づいて投資を行うための専用ファンドであり、当該目的での利用に限定しております。

投資顧問料率

一律0.825%(税抜0.75%)

組入れる投資信託で弊社が運用報酬を受領する場合、上記料率から控除して投資顧問報酬額を算出します。

•        組入れ予定の弊社設定投資信託から弊社が受領する運用報酬はございません。

したがって、投資顧問報酬額は上記の年率0.825%(税抜0.75%)で計算されます。

•        表記の料率は年率表示です。

•        契約資産の性質・運用手法等により、お客様と協議の上、別途報酬額を取り決める場合があります。

•        税込料率は法律に定められる税率が適用されます。

投資信託にかかる費用

信託報酬                                       年率0.055%(税抜 年率0.05%)

内、委託者報酬(運用報酬)ありません信託財産留保(相当)額                     基準価額に0.20% を乗じた額(解約時)

•        販売手数料はございません

•        当該投資信託に関する以下のその他の費用を、投資信託財産で間接的にご負担いただきます

- 組入有価証券を売買する際に生じる取引費用

- 外貨建資産の保管費用

- 信託事務の処理に要する諸費用

- 受託会社の立替えた立替金の利息

- 投資信託財産に関する租税

- 投資信託財産に係る監査報酬

- 法律顧問に対する報酬

- 投資信託約款および受益者に対する報告書の作成、印刷および交付に係る費用

- 公告および投資信託約款の変更および解約に関する書面の作成、印刷および交付に係る費用

- 投資信託振替制度に係る手数料および費用等

(上記その他の費用については、当該投資信託の運用状況等により変動するため、事前に料率やその上限額等を表示することができません)

上記投資顧問報酬(税込0.825%)と上記投資信託の信託報酬(税込0.055%)の合計は、0.88%(年率、税込)となります。